【C/U】シティグループ
【会社概要】
シティは、世界 160以上の国と地域に約2億の顧客口座を有する世界有数のグローバルな銀行です。個人、法人、政府機関などのお客様に、個人向け銀行業務、クレジットカード、法人・投資銀行業務、証券業務、トランザクション・サービス、資産管理など、幅広い金融商品とサービスを提供しています。
(会社HPより)
〈株価〉
63.75(2019/3/3 終値)
(単位:百万米ドル)
過去実績
〈2017年12月期の利益下げについて〉
米銀大手シティグループが16日発表した2017年10~12月期決算は、最終損益が183億ドル(約2兆円)の赤字(前年同期は35億7300万ドルの黒字)だった。昨年末にトランプ政権が決めた税制改革を受けて一時的な費用が発生し、利益を220億ドル下押しした。税制改革の影響を除くと、1株当たり利益は市場予想を上回った。(2018/1/7 日経報道)
シティの減益要因の大半は「繰り延べ税金資産」の取り崩しだ。将来、損失が確定して税負担が軽くなったときには取り崩し利益から差し引く。カギになるのが法人税率だ。シティなどは従来の35%を前提に、繰り延べ税金資産を計上していた。これが21%に下がったため、将来に税負担が軽くなる金額が大幅に目減りしてしまい、一気に資産の取り崩しを迫られたわけだ。(2018/1/9 日経)
〈米金融界の今後の動向〉
高収益を謳歌してきた米大手金融の決算に綻びがみえてきた。2018年10~12月期は減税効果が続き総じて好調を維持したが、市場の混乱が直撃し、債券売買や起債引き受けなどの手数料収入が落ち込んだ。住宅ローンの不振など米景気の変調を思わせるサインも出てきた。19年は景気拡大の勢いが鈍ると見込まれ、収益環境は曲がり角を迎える。
2018年は米大手金融にとって近年まれにみる良好な収益環境だった。大型減税は企業の経済活動や個人の消費活動を刺激。融資増に結びつき、米利上げ継続による利ざやの拡大傾向とあいまって利益を押し上げた。
だが、収益拡大には頭打ちの兆しもみえる。JPモルガンとゴールドマン・サックスの粗利益に当たる純営業収益の動きを四半期ごとにみると、ここに来て伸び悩みの傾向が強まっている。
まずは市場の混乱に対するもろさだ。債券の売買などに伴うトレーディング収入がほぼ軒並み目減りした。相場が荒れたことで株式の手数料収入は増えたが、債券や為替などではあまりの変動に、取引を敬遠する最終投資家が増えた。
住宅市場の調整を受け、住宅ローンの減退も目立ってきた。JPモルガンの10~12月期の新規融資は172億ドルと前年同期比で30%減り、関連業務の収入も8%落ち込んだ。不正営業問題で再建途上のウェルズ・ファーゴは関連業務の手数料収入が大きく減った。
(2019/1/8 日経)
目標株価:76.0961 overyweight (2019/3/8)
・注目したいのが米国の長短金利差
米主要企業の10‐12月期決算における増益率推計は、
金融や情報技術セクターを中心に、2018年末時点の
推計から足もとは大きく下方修正されています。こう
した背景には、米国経済の先行きに対する懸念のほか、
株式市場下落や金利低下といった市場環境があるとみ
られます。特に金融株については、一般的には金利低
下局面では利ざやが縮小するとの見方から株式市場全
体と比較してパフォーマンスが見劣りするとの見方も
あり、12月以降、軟調に推移しました。
しかし、決算発表後の金融株上昇から、悪材料は決
算発表前にある程度織り込まれた様子もうかがえます。
足もとで米10年国債利回りは上昇したものの、そ
の水準は比較的低位にとどまっており、米金融株の動
向をみるうえでは同利回りの推移が引き続き注目され
ます。(みずほアセットレポート2019/1/17)
・金融株の割安感に注目か?
投資家は大手米銀にどんな不満があるというのだろうか。
規模が最も大きい6行、すなわちシティグループ、バンク・オブ・アメリカ、ゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェース、モルガン・スタンレー、ウェルズ・ファーゴ、の株価は、今年になって平均21%下落。ここ数週間売りが加速している。堅調な米国経済と金利の上昇は、通常は好調な利益につながるにもかかわらずだ。
金融機関は拡大的な財政政策や法人減税、規制緩和など1回限りのトランプ相場の恩恵を受けただけだ、という皮肉な見方もある。ただ、株価の上昇が一時的なものだったとしても、今の株価下落は金融業の利益が持続して伸びていることを無視している。銀行は合理化を進め、スリムになった。
過失によって窮地に追い込まれた米銀もある。例えば、ゴールドマンはうんざりするほどのアジアの汚職疑惑によって、巨額の罰金支払いや手数料の返還を余儀なくされる可能性がある。シティグループは最近、コスト効率化の目標に1億ドル足らず届かないと示唆した。数字はそれほど重要ではないが、経営陣への信頼感に影響を及ぼす。
アニマルスピリット(血気)の反転は極めて重要だ。2018年には、金融業の翌年度の予想利益は19~36%増加していた。株価の下落は、全体の予想PER(株価収益率)が約40%低下することを示唆する。6行とも割安で、PERは10倍弱だ。ゴールドマンはわずか7倍に低下した。18年の自己資本利益率(ROE)は、株価純資産価値の低下にもかかわらず、悠々と2ケタ台に乗せている。
銀行に最も批判的な向きは、経済が減速しているのではないかと懸念する。そうだとすれば、米連邦準備理事会(FRB)は19年の利上げを見送り、貸し倒れによる損失が増えるだろう。しかし、こうした最悪のシナリオの可能性を考えると、これほど低い株価評価は適切ではない。単に銀行が嫌いだ、ということでなければだが。
(2018年12月13日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)